オイルに詳しい方は「綿実(めんじつ)油」をご存知のかたもいるかもしれません。
綿実油は、木綿糸を作る時の副産物として発生するオイルです。
高級サラダ油やマーガリン、ショートニング、缶詰、冷凍食品の材料として使われてきました。
「サラダ油」として発売されているものもあります。
このオイル、手作り石けんの材料として使えるのでしょうか。
綿実油を手作り石けんに利用した時の効果と注意点について解説いたします。
目次
綿実油の効果
手作り石けんに綿実油を加えると、製造工程ではしっかりと固まります。
そして、石けんを使ったときには大きくて持ちの良い泡を出すことができます。
綿実油の成分構成は、リノール酸が55%、パルミチン酸が23%、オレイン酸が18%です。
融点が低いパルミチン酸を豊富に含み、石けんを固形化する手助けをしてくれます。
そして、わずかに含まれるミリスチン酸と含有率50%以上のリノール酸が相乗効果を引き起こし、大きな泡をキープしてくれます。
ココナッツオイルがどうしても手に入らないときは、綿実油を代わりに使うと良いでしょう。
ただし、ココナッツオイルよりも配合を少し多くしてください。
ココナッツオイルの2倍ほどの量が丁度よいとされています。
綿実油には保湿成分が非常に少ないため、さっぱりとした石けんになります。
綿実油のデメリット
綿実油のデメリットは、日持ちが悪い石けんになる、ということです。
綿実油に含まれているリノール酸は、最も酸化が早い多価不飽和脂肪酸です。
そのため、消費期限がとても短い石けんになります。
綿実油は、もともと綿花産業の副産物です。
食用としてもリノール酸が多く含まれることからその危険性を問題視されることもあります。
ましてや、綿花の栽培には農薬が多く使われていることを考えると、手作り石けんの材料として必ずしも適切とはいないのが現状です。
使うなら有機農法の、高品質なものを選んでください。
アレルギーが出る場合もありますので、注意しましょう。
綿実油の鹸化価
綿実油の鹸化価は、苛性ソーダで135~141、苛性カリで190~197です。
どのような場面で使うと効果的か
綿実油は、ココナッツオイルの代用品として使われます。
しかし残念なことに、オイルの品質や製造過程から考えると肌用の石けんにはあまりおススメできません。
一方で、キッチン石けんや洗濯石けん、掃除用の石けんなどには向いているでしょう。
ココナッツオイルと同様、泡立ちの良さと硬さがでるオイルです。
潤いよりも洗い上がりや泡立ちを重視する用途に使ってみましょう。
酸化が早いオイルになりますので、多くても20%程度の配合がおススメです。
手作り石けんに使っても、家事用になってしまう綿実油
総合してみると、綿実油はココナッツオイルがあれば必要がない、という結論です。
数年前まで、ココナッツオイルが日本のスーパーにここまで並ぶことはありませんでした。
しかし、健康食ブームが長らく続く現在、ココナッツオイルはオリーブオイルと共に簡単に手に入るオイルとなりました。
綿実油のほうが珍しく見えてしまうほどの進出ぶりです。
石けんを手作りするなら、やはり基本はココナッツオイルとオリーブオイルで正統派な石けん作りを楽しんでください。