石けんはオイルと苛性ソーダだけあれば、簡単に出来上がりますが、石けんに加えることのできるオプショナル素材は数えきれないほど存在し、どの素材をどのように使うかを考えるひと時もソーパーにとっては楽しみの一つです。
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ハーブやスパイスを粉状にしたもの
ハーブなどの植物やスパイスを石けんに加えるには、数通りの方法があります。まず、ハーブや硬いスパイス用のグラインダー機器を使い、パウダー状にしたものをトレース後に加えよく混ぜる一般的な方法です。
混ぜ込みの方法以外に、オイルに一定時間浸しハーブやスパイスの有効成分を抽出する浸出法があります。浸出法は、30分ほど湯煎し成分を抽出す温浸法と、2週間じっくり時間を掛けて抽出する冷浸法と2種類あります。温浸法に適したハーブやスパイスは、根や果実、茎などの硬いもので成分が出にくいものです。一方で、冷浸法は柔らかいハーブやカレンデュラなど花の花びらです。いづれも、抽出オイルには酸化しづらいオイルを使用するほか、カビを防ぐために、素材はしっかり乾燥させて水分が残らないようにしましょう。
このほかに、エタノールを使って成分を抽出するウルトラ抽出と呼ばれる方法があります。エタノールにハーブやスパイスを浸し6時間以上置くことでしっかり染み込ませた後、オイルを加えて湯煎し、エタノールを飛ばす方法です。利点は通常の浸出法よりも、ハーブやスパイスの成分を多く抽出することができるほか、抽出速度が速いことなどです。一方で、エタノールを飛ばす作業に時間が掛かることや、残留エタノールがある場合、急激な鹸化を促すことで失敗に陥る可能性が欠点としてあります。
乳製品やアルコール、ハーブティーなどの液体
通常、石けんに加えるオプション素材は、乾燥したものが多く、こまかくパウダー状にすることでトレース後の石けん生地に加えることができます。ところが、豆乳や山羊乳、ココナッツミルク、アーモンドミルクなどの乳製品や、日本酒、ワインなどのアルコール、ハーブティーなどの液体は、一工夫必要になります。
まず、ハーブティーは精製水と置き換えるだけで、液体の中で最も簡単なオプショナル素材です。乳製品やアルコールは、ハーブティ同様に水分の置き換えになるのですが、置き換えるのは半分量のみです。通常使用する精製水の半分量で石けん生地を作り、トレース後に残り半分の水分として、乳製品やアルコールと置き換えて混ぜ込みます。アルコールは混ぜる前に鍋で火をかけしっかりアルコール分を飛ばしておく必要があるので注意が必要です。
色付けや香り付け
天然の色付けをする場合、最も好んで使われるのがクレイです。地中深くの粘土層から取り出したクレイは、含有ミネラル量によって色や効能が異なります。植物の場合、石鹸生地に混ぜ込むとアルカリによって変色してしまったり、熟成期間中の酸化により退色する可能性もあり、植物そのものと同じ色を出すのは非常に難しいですが、クレイの場合は、ほぼ同じ色が出せるほか、加える量によって濃淡も調節できる利点があります。一方で、鮮やかな色はレッドクレイのみとなり、ほとんどがパステル調の淡い色になります。
鮮やかな色であれば、パプリカやターメリックであれば、変色せずキレイな色が出ますが、緑色のハーブなどの植物はアルカリと混ざることで茶色に変色し、酸化によっても退色していきます。また紫色の紫根も同様で、アルカリにより濃いグレーへと変色します。
香り付けのオプションは、長期に渡り香りを楽しめる人工のフレグランスオイルのほか、天然の花や果実、ハーブなどから抽出したエッセンシャルオイル(精油)もあり、香りだけでなく効能も楽しむことができます。