石けんを手作りする上で、石けんが油臭くなってしまう酸化同様に、石けんの変色や退色も可能であれば回避したい事項の一つです。出したい色の素材を石けんタネに混ぜた途端、茶色くなってしまったり、出来上がりは鮮やかな色だったにも関わらず、保管しているうちに徐々に退色しまうことも多々あります。単色の石けんでも変色は残念ですが、手の込んだデザイン石けんを予定している場合は、変色によりイメージと異なる石けんになり台無しになってしまう可能性もあります。なぜ変色や退色してしまうのかといった理由も含め、防止策などをご紹介していきます。
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アルカリと混ざることで変色
ラベンダーやハイビスカスなど、赤色から青色にかけての色を持つ植物を使う際、苛性ソーダ(アルカリ)と混ざることにより茶色く変色してしまいます。青色は天然素材から出すのは大変難しいことで知られていますが、赤色系の石けんを作りたい場合は、パプリカなどのスパイスやレッドクレイを使用することで思うような色を出すことが可能です。赤色と青色の中間色となる紫色も出すのは難しいですが、紫根を漬け込んだインフューズドオイルで作るとキレイな紫色の石けんを作り出すことができます。紫根の種類によっては、紫色よりもグレーがかった色しか出ない場合もあります。
一方、カレンデュラ、紅花、ほうれん草、ヨモギなど、黄色から緑色にかけての色は、苛性ソーダと混ざってもアルカリに負けることなく、比較的変色が少なくキレイな色を出すことが可能です。特にカレンデュラは、石けんと混ぜても一切変色しないことで知られています。
日光による退色
石けんを作った直後は満足のいくような鮮やかな色をしているのに、保管期間中に取り出してみると色が薄く退色していることがあります。特に緑の植物を使って色付けをした石けんは日光に弱く、気が付くとベージュ色まで退色していることもあり、緑色の面影を残さない石けんになっていることもあります。植物で作った緑色の石けんは光が入らないよう、徹底した管理の下で保管しましょう。
退色防止の対策
石けんは時間とともに変色や退色してしまいますが、その退色に効果があるのがハチミツだといわれています。ハチミツに含まる糖質アルファGルチンには、酸化防止や紫外線吸収、退色防止の効果があることが分かっており、レッドパームオイルを用いた石けんなど、特にカロチノイド系の黄色やオレンジ色の天然色に対する退色防止効果は高いようです。ハチミツを加えるタイミングは、先入れでも後入れでも問題がなく、先入れの場合は精製水にしっかり混ぜ込んでおきます。後入れはトレース後に他のオプショナル素材とともにしっかり混ぜるといいでしょう。
クレイの使用
石けんをプレゼントする場合など、どうしても変色や退色させたくない場合は、変色や退色しやすい植物系素材での色付けは避けた方が無難です。石けんの色付けとして最も好まれるのがクレイです。地中の奥深くの粘土層から取り出した天然のクレイは、高いデトックス効果から、古くから医療などで用いられ、現在でもパックなどの美容としても広く利用されています。全般的に淡い色が多いものの、色の持続性は大変高く、見たままの色がそのまま石けんに反映されるため、使い勝手が非常にいい色材です。