ラノリン、というオイルをご存知でしょうか。
ヒツジから採れる動物性油で、厳密にいうと「ロウ」です。
ヒツジの脂肪腺から採れる分泌物で、人の皮脂と同じ働きをしています。
人の皮脂は皮膚を守るために働いていますが、ヒツジから採取されるラノリンも羊毛を保護する役割をもったオイルになります。
ヒツジの放牧で生活を維持してきたヨーロッパの北地方では伝統的に使われてきたオイルの一つで、現在も手作りボディバターや手作り石けんなどのボディケア用品の材料として使用されています。
それでは、手作り石けんの材料として、ラノリンを使ったときの効果と注意点について解説いたします。
目次
ラノリンの効果
ラノリンは、水分保湿力が非常に高いオイルになりますので、相性が良ければ重度の乾燥肌のかたに向いた石けんとして大変重宝されます。
ラノリンの構成要素の大部分はエステルと呼ばれる様々な要素が組み合わさった化合物でできています。
ラノリンは、防水性が非常に高いため、ヒツジの皮は水をはじくことで有名です。
この「水をはじく」ということが、手作り石けんの材料としては有効に働くことがあります。
水分に触れることより、皮膚から出る油を流してしまい、乾燥肌になってしまっているようなタイプの方は、このラノリンの効果で肌を守ることにより、進行する乾燥肌を食い止めることができる、という見解です。
ひび割れなどにもよく効きます。
多少使用感が重くはなりますが、ラノリンでアレルギーなどが起きないタイプの方は、手作り石けんの材料としてとても有効なオイルでしょう。
ラノリンのデメリット
ラノリンのデメリットは2つあります。
それは、においとアレルギーです。
ラノリンは、他の動物性オイルと同様、独特のにおいがあります。
そのため、手作り石けんの材料として使ったときにも、そのにおいが気になることがあるでしょう。
また、平均して5%、おおよそ3%~7%のかたがラノリンアレルギーであると言われています。動物性のオイルはアレルギーが出る、出ないといった差が人によって大きく違いますから、個人個人で確認する必要があります。
ウールは洋服や毛布の材料として頻繁に使われますが、時々ウールアレルギーのかたもいます。当然ながら、ウールアレルギーのかたにはおすすめできないオイルになりますので、気を付けましょう。
ラノリンの鹸化価
ラノリンの鹸化価は苛性ソーダで74、苛性カリで104です。
どのような場面で使うと効果的か
もし手作り石けんの材料としてラノリンを使おうとするならば、サブオイルとしても使えますし、オプションとしても使えます。
特に、ひび割れを伴う乾燥肌で、ラノリンクリームなどでアレルギー反応が出ないかたは、オプションとしてトレース、型入れ前に石けんのタネに加えてみましょう。
水分維持力がとても高いラノリンですので、石けんの材料として使ったときもその効果を感じることができるかもしれません。
ヒツジの皮脂から採れるラノリン、靴磨きにも使える
ラノリンは馬油や牛脂などに比べると、あまり日本ではなじみがないオイルの一つです。
しかし、その保湿力の高さから、靴磨きの材料としても使える素材です。
もし薬局などで目にしたら、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。