ラードは、食用のオイルの中でも、特に中華料理やラーメンをおいしくするために使われているイメージがあるかたが多いのではないでしょうか。
牛脂、乳脂(バター)と共にヨーロッパの三大動物性オイルと言っても過言ではないラードは、豚から採れるオイルになります。
ラードは牛脂やバターと同じように、放牧が盛んな特に北ヨーロッパでは大変乳脂しやすいオイルであったため、家庭でも手作り石けんの材料として用いられてきた食材の一つになります。
そこで、手作り石けんの材料としてラードを使ったときの効果と注意点について解説いたします。
ラードは、手作り石けんの材料として使ったとき、牛脂よりも軽い使い心地になり、また硬い石けんになります。
精製ラードを使用した場合は、真っ白で硬い石けんが出来上がります。
ラードの成分構成は、オレイン酸が39%、パルミチン酸が24%、ステアリン酸が16%、ミリスチン酸が14%、リノール酸が13%となっています。
パルミチン酸やステアリン酸、ミリスチン酸などの飽和脂肪酸が50%ちかく含まれており、これらの成分は概して溶け始める温度である融点が低いことから、石けんを硬くする効果があります。さらに、石けんの泡立ちを良くするといった効果があります。
飽和脂肪酸はオレイン酸やリノール酸と比べて酸化しにくいことが、一定の温度で温め、トレース状態にし、1か月にもわたり乾燥させる長い工程を経る手作り石けんの材料としては非常に有効であるとも言えます。
一方で、オレイン酸やリノール酸も豊富に含まれていますから、保湿力も兼ね備えた石けんとなるでしょう。
目次
ラードの効果
ラードのデメリット
ラードを手作り石けんの材料として使ったときのデメリットは、その匂いにあります。
動物性オイルには共通する部分ではありますが、一般に植物性オイルよりもその匂いがきつくなります。
また、ラードに含まれる飽和脂肪酸は石けんを硬くしたり、泡立ちを良くしたりと手作り石けんを作るうえで重要な要素は兼ね備えてはいるものの、肌への刺激が強いため、現代の繊細な肌を持つ日本人にはあまり向かないかもしれません。
さらに、飽和脂肪酸は融点が高いことが石けん作りにはメリットとして働きますが、反面、その融点が高いことが原因で、肌に触れた時に溶けずに残ってしまうことがアレルギーや湿疹の原因となる場合もあり、コントロールが難しいところになっています。
ラードの鹸化価
ラードの鹸化価は、苛性ソーダで141、苛性カリで198です。
どのような場面で使うと効果的か
ラードを使った手作り石けんは、洗濯用、住居用の石けんとしては活躍してくれるでしょう。
先にも述べた通り、石けん作りで重要となる硬さや泡立ちへの効果は一定の評価ができるラードです。
しかし、肌や髪へ使った場合、あまり良い影響がでるとは言い難いでしょう。
匂いを気にされる方は、乾燥後、3か月ほど寝かせておくとその匂いも緩和されます。
ラーメンなどでは大活躍のラード、手作り石けんには向かないかも・・・
ラードは食用にはもちろん、洗濯などのお掃除用の石けんには向いている材料と言えます。
肌や顔、髪などに使う石けんの材料としては不向きですが、ラードの良さを生かして、手作りの石けんに混ぜてみてください。